
目次
4. 歯科受診時に注意すべきポイントと医療従事者が伝えるべき啓発事項
シェーグレン症候群の患者さんは、う蝕や歯周病のリスクが高いため、歯科受診時にはいくつかの重要なポイントに注意が必要です。特に、口腔乾燥の状態や日常的なケア状況を正確に伝えることが大切です。また、医療従事者は、患者さんが自分のリスクを正しく理解し、具体的な予防策や自己管理の方法を実践できるように、丁寧な啓発と指導を行う必要があります。以下に、受診時に意識すべき事項と、歯科側から伝えたいポイントを解説します。
・口腔乾燥やケアの状況を明確に伝える
・定期的な受診とセルフケアの重要性を理解する
・医療従事者からの情報や指導を積極的に活用する
・う蝕・歯周病リスクの背景を知る
・自己管理の必要性を認識し習慣化する
4.1. 口腔乾燥の程度を伝える
シェーグレン症候群の患者さんでは唾液分泌が低下しやすく、その結果、口腔内の乾燥が進行します。診療時には、どの程度の乾燥感があるか、食事や会話時の不快感、夜間の口渇など具体的な症状を詳細に伝えることが重要です。これにより、歯科医師は適切な診断と治療、リスクに応じた口腔ケアのアドバイスが可能になります。患者さん自身の感じ方や変化を日々記録しておくと、より的確な情報共有につながります。
| 伝えるべき症状 | 具体例 |
|---|---|
| — | — |
| 乾燥感の程度 | 軽度〜重度まで主観的に表現 |
| 食事・会話時の不快感 | 飲み込みづらい、話しづらい |
| 夜間の口渇 | 夜中に水を飲む頻度など |
4.2. 定期的な歯石除去を実施
唾液の分泌量が少ないと、歯垢や歯石が溜まりやすくなります。シェーグレン症候群の患者さんは、通常よりも頻回に歯石除去などのプロフェッショナルケアを受けることが推奨されます。歯石をそのままにしておくと、う蝕や歯周病のリスクがさらに高まります。定期的な受診のタイミングや、自宅でのケア方法についても歯科医師と相談し、最適なメンテナンスを継続することが大切です。
| ケア内容 | 推奨頻度・ポイント |
|---|---|
| — | — |
| 歯石除去 | 通常より短い間隔で実施 |
| 定期受診 | 1〜3ヶ月ごとに相談 |
| 自宅ケア | 歯磨き・フロスの徹底 |
4.3. う蝕・歯周病リスクの説明
シェーグレン症候群による唾液分泌低下は、歯の再石灰化能力を弱め、う蝕や歯周病の発症リスクを大きく上昇させます。医療従事者は、その背景やメカニズムを患者さんに分かりやすく説明し、自身のリスクを正しく認識してもらう必要があります。リスクが高まる理由を知ることで、患者さんは日々のケアや受診の意義を理解しやすくなり、積極的な予防行動につなげることが可能です。
・唾液分泌低下による再石灰化の阻害
・口腔内環境の変化で細菌が増殖しやすい
・通常よりも歯周病やう蝕の進行が速い
・早期発見・早期治療の重要性
4.4. 予防策の具体的指導
患者さんが実践できる予防策として、フッ素入り歯磨き剤の利用や、歯間清掃器具の活用、こまめな口腔内の保湿などが挙げられます。医療従事者はそれぞれの患者さんの生活習慣や症状に応じて、効果的なセルフケア方法を具体的に指導することが重要です。また、食事内容や間食の取り方についても適切なアドバイスを行い、日常生活全体でう蝕・歯周病予防に取り組めるようサポートします。
| 予防策 | 実践方法 |
|---|---|
| — | — |
| フッ素入り歯磨き剤 | 毎食後の使用 |
| 歯間清掃器具 | フロス・歯間ブラシの活用 |
| 口腔内保湿 | 保湿ジェルやスプレーの利用 |
| 食事指導 | 間食回数のコントロール |
4.5. 自己管理の重要性を強調
シェーグレン症候群の患者さんにとって、日々の自己管理はう蝕や歯周病リスクを低減するために不可欠です。医療従事者は、患者さん自身が自分の口腔状態を把握し、継続的にセルフケアを行う意義を繰り返し伝える必要があります。自己管理の習慣化が長期的な健康維持につながることを理解し、定期検診の受診やセルフチェックの方法についてもアドバイスを重ねることで、患者さんのモチベーション向上に寄与します。
・セルフケアの継続がリスク低減に直結
・定期的な歯科受診で早期発見が可能
・自分の症状や変化を記録する習慣の重要性
・医療従事者とのコミュニケーションを重視



