2. 歯周病菌と全身疾患の関連性
歯周病菌は、口の中だけでなく全身に影響を及ぼすことがわかってきました。近年の研究では、歯周病菌が血液を通じて全身に拡散し、さまざまな疾患の原因となることが明らかになっています。このため、歯の健康を保つことが、全身の健康維持にもつながります。具体的には、心臓病や糖尿病との関連が示されています。これらの疾患を防ぐためにも、歯周病の予防と治療が重要になるのです。
2.1. 歯周病菌が全身に及ぼす影響
歯周病菌は、血流に乗って全身に移動し、各臓器に悪影響を与えます。たとえば、心臓に達すると心内膜炎のリスクが高まります。これは、心臓の内側に炎症が起こる病気で、非常に危険です。また、歯周病菌は糖尿病の悪化にも寄与します。血糖値を不安定にし、治療の効果を低下させます。
さらに、呼吸器系への影響も見逃せません。歯周病菌が肺に入ると、肺炎や慢性閉塞性肺疾患(COPD)のリスクがあります。これにより、呼吸困難や慢性的な咳が引き起こされるのです。それだけでなく、妊娠中の女性にもリスクがあります。歯周病が早産や低体重児出産の原因になることもわかっています。したがって、口の中の健康管理は、全身の健康を守るためにも重要です。
2.2. 炎症と免疫力の低下が引き起こす問題
歯周病菌が体内に入ると、免疫反応が引き起こされます。これは、炎症を伴う反応であり、全身に影響を及ぼします。まず、慢性的な炎症は血管を傷つけます。そして、高血圧や動脈硬化のリスクを増大させます。これにより、心臓病や脳卒中の危険が高まるのです。
また、健康な免疫システムが弱まることも問題です。歯周病菌に対する免疫反応が過剰になると、他の病原体に対する防御力が低下します。これにより、風邪やインフルエンザなどの感染症に対して脆弱になります。免疫力の低下がもたらす影響は、生活の質を低下させる要因となるでしょう。
さらに、関節炎との関連も指摘されています。歯周病菌による炎症が常に続くことで、関節に影響を与え、関節リウマチを引き起こすことがあるのです。このように、歯周病の予防は、全身の健康を保つために不可欠です。